DESIGN NOTE
映画と安らぎがある隠者達の隠れ家
複雑な日常を生きていく現代人の関心事は、物質的、量的価値から内面の質的価値に向かっている。鐘路区通仁洞の大通りを背に韓屋密集地域を歩いていくと、隠れ家のような趣が感じられる韓屋に出会う。世間から身を隠したい者の家に対する茶山丁若鏞(ていじゃくよう)の「隠者の住処」に感銘を受け、「下隠斎(ハウンジェ)」という名を持つようになったここは、隠者達を温かく迎えてくれる。
下隠斎はㄱ字型の韓屋で、庭、寝室、ダイニングルーム、映画室で構成されている。各空間が扉によって一つになったり、あるいは外の空間に繋がったりしながら滞在する人に多様な経験を提供する。寝室と映画室の間の空間は、扉を閉めるとパウダールームになり、スクリーンを降ろせば映画室にすることができる。そして可愛らしく清潔なダイニングルームでは簡単な食事とドリップコーヒー、読書を楽し無ことができる。韓屋の特徴を生かした低い木製の家具も、小さな空間を効果的に活用したディテールであり、室内と庭をつなぐ小さな橋渡しでもある。
ここに滞在する間、香り、光、音楽、温もりなどの様々な要素から内面の癒しを共感覚的に体験することができる。木製の扉を開けて入ると、空間のモチーフでもある自然主義の香りであるブランド「sutome」の香りを感じる。暖かい色味の”ジョージ・ネルソン”バブルランプを横目に通り過ぎ、重い荷物と雑念をしばらく置いて「光と時間の芸術」とも言える映画とともに午後を過ごしてみよう。テーブルの中の素朴に隠された足浴を使って温もりを満たすのもおすすめだ。また、静かな雰囲気を残しながら韓屋の不便さを少しでも軽減するためにIOT設備を備えている。自身の感情と好みに合った光や音楽、温度を演出してみるのも空間の趣を楽しむ隠者の特権だろう。このように、下隠斎では韓屋の経験を超えて日常を彷徨っていた人生の問いと向き合う時間を過ごしてほしい。
DESCRIPTION
Project Year | 2019 | |
Scale | 69.4 sqm | |
Type | Hanok | |
Location | Seoul, Korea | |
Theme | modern, minimalism | |
Credit | Construction GRIDS Photo Kihun Park | Brand Cotone (Fabric) Restay (Amenity) Dyson (Lighting, Hair dryer) |
PROJECT SCOPE
| STAY TOTAL DESIGN ステートトータルデザイン